前回の記事では、トレーラーを意図的に見ないまま、公式Twitterのテキストとタイトルロゴの配色だけを手がかりに『FFVII リべレーション』を読み解いた。Revelationという言葉の三層構造――真相の開示、神からの啓示、ヨハネの黙示録――を論じ、最終的な命名の判断に野村哲也の存在が関わっているだろうと、留保をつけながら触れた。

その後、ディレクターの浜口直樹がMaximilianとの対談でサブタイトルの経緯を直接語った。読み解きが当事者の言葉と照らし合わされる機会が来た。

出典:浜口直樹 × Maximilian 対談 / Summer Game Fest(スクウェア・エニックス公式アカウントより)
Max

「Reunion」が使えなかったのは残念だったのでは?

浜口氏

「Reunion」は比較的最初から候補には無かった

浜口氏

最終的に2〜3つに絞り込んで、野村に決めてくれと言って最終的に彼が選んだ

浜口氏

基本的には言葉の通りで…セフィロスかもしれないし、リメイクシリーズの最後の結末かもしれないし、我々がリメイク・リバースとユーザーに問いかけて来たものを全て明かすと、そういうつもりで”REVELATION”と付けた

01

浜口が絞り、野村が選んだ――役割分担が示すもの

まず命名プロセスの構造が明らかになった。複数の候補を2〜3案に絞り込んだのは浜口チームで、最終決定を野村哲也に委ねた。

これはこのプロジェクトにおける役割分担をそのまま反映している。浜口直樹はプログラマー出身のディレクターとして作品を「作る」側にいる。野村哲也はクリエイティブ・ディレクターとして作品のビジョンを持つ側にいる。サブタイトルという「作品の顔」の最終判断が野村に委ねられたことは、権限の所在として自然な帰結だ。

前回の記事で「野村哲也は言葉の多重意味や記号的な仕掛けにこだわることで知られる人物だ」と書き、留保をつけた。その留保は外れた。最終決定者が野村であったことは事実として確認された。

なお「Reunion」が早期に候補から外れていたことも興味深い。Crisis Core FFVIIのサブタイトルとして既に使用されているため、という理由は実務的だ。リメイクプロジェクトが自分たちの作品世界の言葉の使用履歴を丁寧に管理していることが伝わる。

02

「基本的には言葉の通りで」という誠実さ

浜口の発言で最も注目したいのは、意味を問われたときの答え方だ。

「基本的には言葉の通りで」。

多重解釈を煙に巻くわけでも、「深い意味はない」と切り捨てるわけでもなく、複数の意味が全部そのままだと認めた。セフィロスかもしれないし、結末かもしれないし、問いへの答えかもしれない。どれか一つではなく、全部を引き受けるつもりで選んだ言葉だと言っている。

これは前回の記事で論じた「三層構造」と完全に重なる。一般的な真相開示、宗教的な啓示、黙示録的な審判――それぞれ別の読みに見えて、浜口の発言はそのいずれも否定しない。周到な命名だと書いたが、周到さは意図的なものだったと確認された。

ただし「言葉の通り」という表現は、同時に約束の重さでもある。曖昧に逃げる余地を自ら閉じた発言だ。「全て明かす」と言い切った以上、発売後にその言葉が問われることになる。

03

「全て明かす」が引き受ける問いの重さ

浜口は「我々がリメイク・リバースとユーザーに問いかけて来たものを全て明かす」と言った。

では、その「問い」とは何か。リメイクプロジェクトが6年かけてユーザーに積み上げてきた未解決の問いは、少なくとも以下の三点に収束する。

01
エアリスの存在と世界線の統合

リメイクプロジェクトで最も大きく揺さぶられた問いだ。ただしこれは「エアリスが死ぬか生きるか」という感情的な問いではなく、構造的な問いとして立てるべきだ――複数の世界線を抱えたまま走ってきたこのプロジェクトが、最終的にどう収束させるか。エアリスの存在はその収束点の象徴として機能している。

02
セフィロスの真の目的

浜口自身が「セフィロスかもしれない」と名指しした。リメイクプロジェクトのセフィロスは、原作の「星を滅ぼす」という動機を超えた何かを持っているように描かれてきた。その「究極の意図」が明かされるというのが、浜口の言葉から読める最も直接的な約束だ。

03
「改変」の着地点

リメイクプロジェクトは第一作から原作との関係を意図的に曖昧にしてきた。運命の番人、世界線の分岐、「知っている未来」への抵抗――これらの仕掛けが最終的に何を意味していたのかが問われる。原作を「なぞる」のか「超える」のか、あるいはまったく別の回答を用意しているのか。

これら三つの問いは独立していない。世界線の統合、セフィロスの目的、改変の着地点は互いに絡み合っていて、一つが解けると残りも動く。「全て明かす」という言葉が引き受けているのはその全体だ。

次回予告
リメイクプロジェクトが積み上げた「問い」を全て解体する

上記三点の問いをそれぞれ丁寧に分解し、『リべレーション』が答えを出すべき論点を整理する別稿を準備中。

04

当事者の言葉が届いた

前回の記事は、情報を意図的に制限した状態で書いた。トレーラーを見ず、ロゴと公式テキストだけを読んだ。その読みが間違っていた部分はなかった――少なくとも浜口の発言と矛盾する箇所は見当たらない。

ただ、当事者の言葉は読み解きを裏付けるだけでなく、新たな重さを加えた。「全て明かす」は分析者の推測ではなく、制作者自身の約束として記録された。

野村哲也が最終的にRevelationを選んだ。その選択の意味は、2027年春に検証される。