実はドラクエは“少女ロマンス”だった

ドラクエは恋愛ロマンス 作品考察
実はドラクエは”少女ロマンス”だった|いのまたむつみ版ドラマCDで気づいた「勇者と姫」の切なさ
DQ
Dragon Quest / Romance Analysis

実はドラクエは“少女ロマンス”だった いのまたむつみ版ドラマCDで気づいた「勇者と姫」の切なさ

神話として受け継がれる、静かで悲しい愛の物語

「ドラゴンクエスト」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは——スライム、冒険、レベル上げ、国民的RPG。でも、ある時ドラマCD版に触れた私は、少し印象が変わった。

ドラクエって、こんなに“切ないロマンス”の物語だったのか、と。

ドラクエの恋愛要素は、実はかなり多い

よく考えると、ドラクエシリーズには昔から恋愛や感情の要素が存在している。『Ⅴ』の花嫁選択は有名だし、シリーズ全体を通しても、王女との関係・幼馴染・家族愛・血統・宿命・別れ、といったテーマは繰り返し描かれてきた。

ただ、FFシリーズとは見せ方が違う。

ドラクエのロマンス
  • 神話的・宿命的な構造
  • 感情を激しく見せない
  • 静かに祈るような悲しさ
  • 血統と伝説に絡んだ愛
FFシリーズとの違い
  • ロマンスを作品の中心に据える
  • 映像演出で感情を強く見せる
  • 美形キャラクター性を前面に出す
  • 感情を激しくぶつける

だからドラクエは、”恋愛作品”として認識されにくい。でも、ロマンスがないわけではない。

でも、ロト編には”神話ロマンス”が確かにある

特に『1〜3』のロト編には、神話ロマンス的な要素が色濃く存在している。

勇者 世界を救う旅 別れを前提にした愛 血統と伝説 孤独な使命

そして、その空気を強烈に可視化していたのが——いのまたむつみによるドラマCD版『ドラクエ』のビジュアルだった。

CDシアタードラゴンクエスト1
CDシアター ドラゴンクエスト|いのまたむつみ イラスト

いのまたむつみ版ドラクエは、「運命」を描いていた

いのまたむつみのイラストは、ただ美麗なだけではない。視線・儚さ・中性的な美形・静かな色気・耽美性・少女漫画的な感情線——そうしたものを、一枚絵の中に閉じ込める力がある。

鳥山明版
冒険の楽しさを前面に
親しみやすさ、明るさ、ユーモア。誰もが入り込める「国民的RPG」の顔。
いのまたむつみ版
勇者と姫の宿命を前面に
神話としての恋、運命を背負う者の孤独、静かで美しい悲しさ。

同じドラクエなのに、空気がまるで違うのだ。

『ドラクエ1』は、”孤独な騎士の恋”だった

特に印象的だったのが、ローラ姫との別れの場面。勇者は姫の想いを受け取りながら、竜王討伐へ旅立つ。

ドラマCD版 / ローラ姫との別れのシーン
「戻れないかもしれない旅」へ向かう勇者。
そこで流れるのが、「ほこら」のBGM

本来は祈りや静寂を感じさせる音楽が、
「愛する人を残して旅立つ覚悟」の音楽に変わる。
ドラクエのロマンスとは

FFシリーズのように感情を激しくぶつけるロマンスではない。もっと、“静かに祈るように悲しい”。それが、ドラクエのロマンスなのだと思った。

関俊彦の”若き勇者像”も素晴らしかった

ドラマCD版 / 勇者役
関俊彦
現在では悪役や威圧感のある役柄の印象も強いが、当時の演技を聴くと繊細さ・気品・少年性・優しさを持った青年役の魅力が際立っていた。「未熟な少年が、孤独な旅を経て勇者になっていく」というロト勇者像に非常によく合っていた。

さらにドラマCDという媒体自体も、間・呼吸・音楽・空気感を大切にしている。映像がないからこそ、感情や余韻に”浸る”作品になっていたのだと思う。

呼吸 音楽 空気感 余韻 映像のない感情
Conclusion — ドラクエとロマンス
ドラクエは、もっと“ロマンス作品”として語られていい

世界を救う使命・姫との別れ・孤独な旅・愛を背負う勇者・神話として受け継がれる想い——この構造そのものは、むしろ古典的な少女ファンタジーに近い。そして、いのまたむつみ版ドラマCDは、その”神話ロマンス”を極めて美しく可視化していた。

epilogue

ドラクエは、実はかなりロマンチックな作品だった

ドラクエはFFシリーズのように恋愛を前面化する作品ではない。でもその構造の奥には、ずっとロマンスが流れていた。

それに気づかせてくれたのが、いのまたむつみの絵と、声優陣の演技と、あのBGM達だった。

※本記事は個人の考察です。ドラマCD・ゲーム作品の内容・設定についての感想・解釈を含みます。

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