一部の人達は野村哲也さんのイメージを誤解している、かもしれない

コンテンツ文化

FF7関連のソシャゲで、ティファが優遇されている(ように見えることがある)度に、 エアリスと比べた場合に「また野村のせいだ」「野村がティファ贔屓だからこうなる」 という声が目にとまる。

でも私は、そのたびにどうしても「うーーーーん……?」と思ってしまう。

なぜなら、“本編”の主題歌制作の裏側を見ると、 そのイメージと実像がどうにも一致しないからだ。

1. リメイク主題歌『Hollow』──野村が“日本語を入れたい”と言った理由

まずはリメイクの主題歌『Hollow』の制作裏話。

北瀬「曲が出来上がってから、最終的に野村が編集スタジオで“やっぱり日本語も入れたい”と言った」

野島「和訳が公表されたことで普遍性が減ったかなと思った」

北瀬「曖昧にしたかった?」

野島「そうそう」

ここで重要なのは、

✔ 野島は“曖昧にしたい”

✔ 野村は“日本語を入れたい”

という対立構造。

『Hollow』は公式には誰宛とも明言されていない。 しかし、YouTubeなどの反応を見ると、 ほぼ“クラウド→エアリス”として受け取られている事が多いように見える。

理由は単純で、 歌詞の内容がエアリスに当てはまるから。

野島さんは「和訳が公表されたことで普遍性が減った」と語っている。 これは裏を返せば、和訳がなければもっと曖昧で、 歌詞の“誰に向けたものか”がぼやけていたということだ。

その曖昧さを避け、意味を明確にする方向に動いたのは野村さん。 これは、エアリスを冷遇している人の判断とは思えない。

2. リバース主題歌『No Promises to Keep』──野村が“自分発信で”決めたこと

次にリバースの主題歌。

――歌詞のイメージをクラウドやエアリスにする、というのは話し合いで?

野村「そこは自分発信で決めさせてもらいました」

ここでも、 主題歌を“誰の物語にするか”を決めたのは野村さん。

主題歌は作品の“顔”だ。 世界展開を見据えて英語で制作している。 その“顔”をクラウドとエアリスに寄せる判断をしたのは、 他でもない野村さん。

これもまた、 「野村=エアリス冷遇」というイメージと矛盾している。

3. では、なぜ“野村=ティファ贔屓”というイメージが広まったのか?

ここが誤解の根本。

✔ 野村さんはティファが好き(キャラとして、デザインとして)

これは事実だと思う。

でも、

✔ “ティファが好き”=“クラウドとティファのカップルを推している”

ではない。

そして、

✔ ソシャゲでティファ優遇に見える現象は

本編のクリエイティブとは別の“商業的判断”で動いている。

にもかかわらず、 ソシャゲのイベントやガチャのたびに野村さんが叩かれる。

しかし、 本編の主題歌という“作品の象徴”の扱いを見ると、 野村さんはむしろエアリスを大切にしている。

4. 結論:野村哲也さんは、誤解されているのかもしれない

私は、野村さんがティファを好きなのは事実だと思う。 でもそれは“キャラとしての好み”であって、 FF7の神話構造を歪めたいという意図とは別物だ。

むしろ、

  • 『Hollow』で日本語を入れたいと言った
  • 『No Promises to Keep』をクラウドとエアリスの歌にした
  • 主題歌という“作品の顔”を物語の核心に寄せた

これらの行動を見る限り、 野村さんは

  • ✔ FF7の神話構造を理解している
  • ✔ エアリスを冷遇していない
  • ✔ むしろ物語の中心に据えようとしている

そう感じざるを得ない。

だから私は、 FF7関連で何かあるたびに野村さんが叩かれるのを見ると、 どうしても「うーん……?」と思ってしまう。

もしかしたら、 野村哲也さんは誤解されているのでは。

■ 「歪み」という言葉の射程について

さらに、野村哲也がFF7リメイクシリーズに言及している「歪みを正す」とは、一般的には以下のようなものを指すと考えるのが自然だろう。

・長年のコンピレーション展開による設定差
・メディアごとの描写の揺れ
・時系列や補完のズレ

つまり、「作品間の整合性」に関する問題である。

一方で、この発言を「恋愛関係の正解を統一する意図」として解釈する見方も存在する。

しかし、この場合は本来の文脈から意味が拡張されている可能性があり、解釈の飛躍が生じているとも考えられる。

このように、「構造の整理」と「関係性の確定」が同一視されてしまうことで、発言の意図が異なる方向に受け取られてしまうことがある。

■ 個人的な所感

こうした解釈のズレが生じること自体は理解できる。

しかし、「歪みを正す」という発言を特定の関係性の確定と結びつけて期待したり、あるいはそれに反発して制作者個人を強く非難する流れについては、やや行き過ぎているのではないかとも感じている。


また、制作者の発言が特定の意図と結びつけて解釈され、その前提で評価や批判が行われるケースも少なくない。

しかしその場合、発言と作品表現のあいだにある因果関係が十分に検証されないまま、意図が先に確定されてしまっている可能性がある。

本来であれば複数の解釈が成立しうる部分であっても、「こういう意図に違いない」という前提が置かれることで、結果として発言そのものが異なる意味で受け取られてしまうこともある。

※(発言そのものではなく、「こういう意図のはずだ」という前提で読み取ってしまう、ということ)

参考:植松伸夫氏、野島一成氏、北瀬佳範氏 テーマソング「Hollow」インタビュー
https://mora.jp/topics/interview/finalfantasyremake_hollow

参考:『FF7 リバース』発売直前インタビュー。https://www.famitsu.com/news/202402/07332735.html#google_vignette

タイトルとURLをコピーしました