Novel
Dragon Quest / Novel Analysis
前回記事の続編
“恋愛としてのドラクエ”を
魅せていたのは、小説版だった
高屋敷英夫 × いのまたむつみ版『ドラゴンクエスト』は少女ファンタジーとして最高だった
祈り・運命・静かな別れ——神話ロマンスの極致
私が「ドラクエってこんなにロマンチックだったんだ」と強く感じたのは、ゲーム本編だけではない。むしろ印象的だったのは——小説版だった。
高屋敷英夫 著 × いのまたむつみ 画による、小説版『ドラゴンクエスト』シリーズ。単なるゲームのノベライズではない、“神話ロマンス”としてのドラクエがそこにあった。
The Authors
高屋敷英夫 × いのまたむつみという組み合わせ
Chapter 01
高屋敷版ドラクエには、”神話ロマンス”の空気があった
特にロト編(1〜3)は、神話ファンタジー的要素が強い。そして、その世界観が少女ファンタジー的ロマンスと非常に相性が良かった。
勇者
王女
血統
伝説
世界を救う使命
少女漫画的な感情線
RPG小説の空気感
耽美ファンタジー
読後感のイメージ
「魔王討伐の冒険譚」ではなく——
愛や祈りを背負った人間たちの旅。
80〜90年代の少女漫画・OVA文化・耽美ファンタジーとも
繋がる空気が、高屋敷版にはあった。
愛や祈りを背負った人間たちの旅。
80〜90年代の少女漫画・OVA文化・耽美ファンタジーとも
繋がる空気が、高屋敷版にはあった。
Recommendation
ドラクエ11の「セニカとローシュ」が刺さった人には、かなりおすすめ
こんな人に刺さる
『ドラゴンクエストXI』セニカ × ローシュの関係性に惹かれた人
宿命・喪失・時を超える想い・世界のために失われた愛——あの空気。それはFFシリーズのような激情型ロマンスとは少し違う。もっと「祈り」「運命」「静かな別れ」に近い感情だ。高屋敷版ドラクエは、まさにその系譜にある。
Chapter 02
4以降の久美沙織版は、”人生ドラマ”へ変化する
4以降、小説版は久美沙織へバトンタッチする。こちらも非常に評価が高く、特に人物の内面描写の深さを評価する声は多い。ただ、空気感はかなり違う。
高屋敷英夫版(1〜3)
ロト編の担当
伝説と恋のファンタジー
神話・宿命・血統・別れを前提にした愛。少女ファンタジー的な感情線が色濃い。
久美沙織版(4〜)
天空編の担当
人間ドラマと人生
家族・仲間・日常・社会・人生。内面描写の深さと、より地に足ついた人間ドラマ。
なぜ噛み合ったか
『ドラクエIV』以降は家族・仲間・日常・社会・人生といったテーマが濃くなっていく。だから久美沙織の人間ドラマ的な筆致は、作品世界と非常に噛み合っていた。バトンタッチのタイミングは、必然だったのかもしれない。
Chapter 03
『精霊ルビス伝説』にも、”ロトのロマンス”は確かにあった
「高屋敷版だけが良い」と言いたいわけではない。久美沙織版『精霊ルビス伝説』にも、確かにロト伝説特有のロマンスが存在していた。
結局、自分が惹かれていたのは——
ローラ姫
竜王に囚われた姫。戻れないかもしれない旅へ向かう勇者を、祈るように見送る。
ルビス
大地の精霊。ロト伝説の根底に流れる、世界そのものへの愛。
セニカ
時を超えた先で失われた愛。ドラクエ11の神話ロマンスの最新形。
ドラクエにはずっと、「世界を救う物語」と「静かな恋」が共存していた。
epilogue
「祈り」「運命」「別れ」を描く、神話ロマンスとしての魅力
それは”恋愛ゲーム”的な意味ではなく、祈り・運命・別れ・愛を抱えて旅立つこと——を描く、神話ロマンスとしての魅力だ。
ドラクエの別の顔として、かなりおすすめしたい。
※関連リンク
▶実はドラクエは“少女ロマンス”だった

