イオンシネマ海老名閉館へ。日本初のシネコンが終わる

イオンシネマ海老名閉館 コンテンツ文化

2026年5月17日。
イオンシネマ海老名 が閉館する。

ここは、ただの映画館ではない。

1993年に「ワーナー・マイカル・シネマズ海老名」として開業した、日本初のシネマコンプレックス。
今では当たり前になった、

  • ショッピングモール併設
  • 複数スクリーン
  • 郊外型レジャー施設
  • 家族で一日過ごす映画館

というスタイルを、日本でいち早く形にした場所だった。

つまり、今のシネコン文化の“始祖”のような存在である。

イオンシネマ海老名

正直に言えば、近年の海老名は「最新映画館」という感じではなかった

  • 古い。
  • 構造も昔っぽい。
  • 導線も独特。

今どきの大型シネコンのように、

「ここが映画館です!!」

と巨大ロゴで主張してくる感じではない。

むしろ、

イオンの服売り場やおもちゃ売り場を歩いていたら、いつの間にか映画館がある。

そんな不思議な感覚だった。

SNSでも、応援上映などで初めて訪れた人たちが、

「本当にここに映画館あるの?」

と困惑しているのを何度も見た。

だが、私はあの感じが妙に好きだった。

古いのに、ワクワクする。

まるで一昔前の“大型商業施設の夢”が、そのまま残っているような空間だった。

わたしと海老名

実を言うと、私が海老名に訪れたのは比較的近年になってからだ。

最初の海老名の記憶は、サービスエリアのメロンパン。
そして家族とららぽーとに行った時、ついでにイオンシネマ海老名にも立ち寄った。

その時の第一印象は、

「なんか古い……昭和?っぽい……でも妙に楽しい」

だった。

文化祭みたいな空気の劇場

私が本格的に通った時期は、アニメ映画『プロメア』にハマった頃。

あの頃の海老名は、単なる上映館ではなかった。

支配人やスタッフの“好き”が、劇場のあちこちから漏れていた。

  • 館内装飾。
  • 手作りPOP。
  • イラスト。
  • 応援上映。
  • 独自企画。

映画館というより、文化祭みたいだった。

特に印象深いのは、『プロメア』のスタッフ登壇イベントだ。

監督、キャラクターデザインなど、制作の中心人物たちが実際に劇場へ来て、生コメンタリー上映を行っていた。

しかも通常料金。

もちろんチケットは即完売だったが、日本のアニメイベントはどうしても声優中心になりがちな中、「制作側」の話を聞ける機会は本当に貴重だった。
上映前に登壇製作者が、ロビーでお客さんに混ざって普通にコンセのジュース飲んでた姿が忘れられない。

考えてみれば、ガイナックスやTRIGGER系の作品文化自体が、“オタクの祭り”と相性がいいのだと思う。

  • 制作秘話。
  • 演出談義。
  • 熱量。
  • 勢い。
  • 「なんでこんなシーン作った?」を語り合う空気。

海老名には、それを受け止める土壌があった。

もちろん、現実的に見れば、設備競争では厳しかった部分もあると思う。

近隣には4DXや最新設備を備えた映画館も増えた。

快適さだけなら、そちらを選ぶ人も多いだろう。

でも海老名には、最新設備とは別の価値があった。

“映画館そのものに人格がある”感じ。

  • スタッフの熱量。
  • オタクの空気。
  • 作品を一緒に盛り上げる文化


『THE FIRST SLAM DUNK ザ・ファーストスラムダンク』
が公開された頃も、イオンシネマ海老名は何かと企画を行ってくれたのでよく足を運んだ。

それは現在の大型シネコンでも、完全に消えたわけではない。

イオンシネマ海老名的な祭り。
それは今の大型シネコンでも、完全に消えたわけではない。

むしろ配信時代になった今、映画館は“イベントの場”としての価値を強めている。

  • 応援上映。
  • 舞台挨拶。
  • ライブビューイング。
  • 特典配布。

映画館へ「わざわざ行く理由」は、年々重要になっているのだと思う。

ただ、その中でも海老名には少し独特な空気があったのだ。

チェーン館なのに、どこか“個人経営の映画館”のような熱量。

スタッフや支配人の「好き」が、劇場全体から滲み出ていた。
それが昨今の、均質化された大型シネコンでは、少しずつ失われつつあるものかもしれないように思う。

惜しまれる理由

今回、多くの人が惜しんでいるのは、
単に「古い映画館がなくなる」からではないと思う。

海老名には、他の大型シネコンにはない独特な空気があった。

それは、

映画を観るだけでは終わらない劇場。

  • 応援上映。
  • 独自企画。
  • スタッフの熱量。
  • 常連客の空気。

まるで“映画好きが集まる文化祭”のような場所だった。

そして、その独特な文化を支えていた大きな理由の一つが、「THX」だった。

“スター・ウォーズの聖地”

実は海老名が特殊なのはここです。

単に古いシネコンではなく、

THXを持っていたこと。

「THX(ティー・エイチ・エックス)」
って、簡単に言うと

「ルーカスフィルム基準の高品質上映認証」

みたいなもの、なのだそうです。

私はTHXは「音が凄くて、好きな作品をより楽しませてくれる素敵な音響設備!」という浅い認識だったのですが、実は「ルーカスフィルム基準の高品質上映認証」だったとは…。

これは90年代~00年代の映画ファンにとって、

「THX上映」
「海老名7番スクリーン」

はブランド。

そして『スター・ウォーズ』ファンから聖地扱いされていた。

だから最後のイベントが

スター・ウォーズ全作THX上映

なのは、とても意味がある。

しかもラストセレモニーが行われる上映は
『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』

旧三部作を締めくくる、“スター・ウォーズの終幕”とも言える作品だ。

イオンシネマ海老名という場所の最後を飾るには、あまりにも象徴的。

こちらのチケットはすでに完売している。
早く気付かなかった自分が悔しい、行きたかった。

最後まで、“祭り”のような映画館だ。

それが、なんだか海老名らしい。


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